▽「新人監督日記」(昭和60年 角川書店 和田誠)のなかでいい会話だなァと読み返すほどに感服してしまうのが小堀勝啓(アナウンサーとのこと)と和田誠との対談。「麻雀放浪記」にはにおいがあると語っている。「今の映画って、わりとにおいのない映画が多かったりするんですね、おしゃれだったりいろいろしてもね。黒沢明監督の初期のものとか、そういうものって何でも全部においがあるでしょう、人が動いてて街の風景なんて。」(小堀) 本にも同じことが云えるかもしれない、物理的なにおいのことではないのですが。懐かしさとか、心地良さとか、痛みとか、粗筋はわすれてしまっても伝わってくるようなものかな。 <8月29日>
▽「麻雀放浪記」(1984 和田誠)は不思議な映画でした。DVDに録画したものを観たのですが見終わった後に劇場にいるような気分を味わった。それほどまでに映画(的)で映画のにおいか濃厚。昭和21年頃(?)の戦後の風景、たたきつける雨、ふんわりした雪の場面も良かったですね。男が男で女が女だった時代の明るさ、純情がサラッと描かれていて屁理屈のカケラもないところなどさすが。今度見直して驚いたのはラストシーンとそこにかぶさる音、まったく憶えていなかった。今回はゾクッときましたね。「幕末太陽傳」を思い浮かべてしまった。 <8月24日>
▽中高年(?)必見の「歌伝説」シリーズがNHKBS2で始まっていますが「ちあきなおみの世界」は8月9日に放送とのこと、ザ・ピーナッツや中村八大・いずみたくの放送も予定されているようです。詳細はNHKのホームページでご確認ください。当サイトの記憶が正しければ確か今、一番でてきてほしい人はちあきなおみです、とラジオで阿久悠が語っていたはず(NHKFM ミュージックメモリーでの発言 )。 
▽日本映画の黄金時代が別のかたちで復興していたら、もしかしてあの方もスターの座を射抜いていたんじゃないか、新たなスポットライトを浴びていたんじゃないか、と考えることがあります。例えば・・・、前回の「A面B面」でも「ぼくは、あの子が寅さんの映画にチラッと出てきたときに、デビューの頃の吉永小百合を連想したんですね」(和田)「時代が時代なら吉永小百合になれたかもしれないんですけどね。いまはもっと崩れてないとだめみたいなとこあるからね。」(阿久) この会話は「歌手の芝居」が役者としてリアルにうまいという小テーマでのもの。さらにキネ旬の松竹特集での対談(「われらの松竹スターを語ろう」高橋治 品田雄吉 1986.8下)の最後あたりで「・・・藤真利子を掴まえてスターにできないところが、今の松竹の弱さ」「岸恵子が早く生まれ過ぎたとしたら藤真利子は遅く生まれ過ぎた」と高橋が語り品田とともに松竹大船の女優の典型なのに、と口惜しさを吐露している。「あの子」も藤真利子も気になっていた女優だけに印象に残っている。なおキネ旬のおふたりの対談は出色のもの。 <8月7日>
▽同じ学齢期の和田誠と阿久悠の「A面B面」(ちくま文庫 単行本は文藝春秋 1985)を読み返してみた。天才が天才に聞く本だから面白くないわけがない、副題は「作詞・レコード・日本人」。不幸な歌だったが幻の名曲だという「昭和放浪記」(1972 曲は小林亜星)の詩が掲載されていますがたまんない世界ですね。この本は昭和グラフィティの細部にまで入り込んで今後輝いてくる1冊だと思いますが「戦後唯一の世代」のセンスといったものも感じさせてくれる。 <8月5日>

▽やっと、という感じですが映画「麻雀放浪記」(1984 和田誠)が8月9日午前1時からNHKBSで放送される。再見したいと思ってからいったい何年待ったことか。そして8月13日に「大冒険」(1965 古澤憲吾)も放送される、クレージー・キャッツ結成10周年記念映画。こちらは初見ですが小林信彦「1960年代日記」(ちくま文庫)のこの年を読むと凄い時代だったことが分かる。小林信彦がこの映画にどう関わったか、も綴られている。 <8月2日>
2007年8月
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