▽またまた間があいてしまいましたがローカル本の続きです、世田谷文学館の本や図録はいい企画のものが多くて、とはいえ多くが品切れになっていますのでHPをマメにチェックしておかないと入手できなくなってしまう。今回アップの「映画と世田谷」(A5判本文40ページ 頒布価格500円 送料別)は世田谷ゆかりの映画人と撮影所の歩みをコンパクトにまとめたもの。まだ在庫があるようです、HP(世田谷文学館 検索で入れます)でご確認ください。世田谷は「世田谷映画人マップ(砧地域)」(25ページ)に詳しく紹介されているようにP・C・L(後の東宝)の撮影所が設立された場所でもあり映画人の住まいも多いばかりか映画の舞台にもなっている。「P・C・L映画製作所ができた昭和七年は、ちょうど世田谷区が誕生した年でもあ」(ごあいさつ)った、山本嘉次郎 マキノ雅弘 成瀬巳喜男らが活躍した時代と作品歴が紹介されています。 <11月27日>
▽婦人公論12月号の「高峰秀子の流儀」に「完」が入りました、高峰のことば ─ 私は心にノートを持っている、いつも真っ白なページにしておきたいという趣旨 ─ を読んで、そして書き手 斎藤明美の当サイトのイメージである「坂道」が重なって“この連載に音楽を流すとしたらこれだな”と思い浮かんだのが「白いページの中に」(作詞作曲柴田まゆみ)。坂道ということばは「高峰秀子の捨てられない荷物」(文藝春秋 文春文庫 斎藤明美)の冒頭に「白い坂道」という印象的なことばで書き止められています。ちなみに「白いページの中に」の当サイトの愛聴盤は「Dear FriendsU」(岩崎宏美のカバー・アルバム)の最後に収められている唄。聴く人の状況によってはグラッとくる曲(そして唄)かもしれません。
「高峰秀子の流儀」もその前の「最後の日本人」シリーズも本になると予告されています、楽しみなことです。そして高峰秀子はまだ終わらない、違うテーマで次号(1月号)から新登場するとのこと、高峰への道は果てしなく続く、歩み続けるその後ろ姿をたくさんの「見守る瞳」が後押しをしていることでしょう。
▽マキノ雅弘の「次郎長三国誌」シリーズ9作品が今月24日からNHKBS2で放送されます、当サイトにあるのはビデオに収録したものですから前回の放送はおそらく5年以上も前だったのではないかな。このシリーズの面白さは、まァとにかく観れば分かります、邦洋画ファンの垣根をとっぱらう奇跡のプログラムピクチャ、録画しておいてお正月休みにゆっくり観るという楽しみもありますね。 <11月19日>
▽注目の新刊書として紹介するにはいささか緩んだ印象の1冊ですが「『仁義なき戦い』伝説」(宝島文庫 2008年11月 定価630円 親本「仁義なき戦い PERFECT BOOK」の改訂版)に菅原文太 梶芽衣子 中原早苗のインタビューがあってやはりノーマークというわけにはいきません。少し前の雑誌で仁義の特集というのではないのですがen−taxiという扶桑社からでているムック本の2005年11号(2005年9月発行)が「七〇年代東映 蹂躙の光学」という特集で松方弘樹インタビューや笠原和夫、成田三樹夫をとりあげていてユニークな編集、凄いのはこの号には別冊付録で文庫サイズの笠原和夫シナリオ「実録・共産党」「日本暗殺秘録」が付いていること。本誌よりもぶ厚い付録ですぞ(310ページ)。まだバックナンバーがあるようです、定価860円ならお買い得。『仁義なき戦い』についての当サイトのおすすめは小林信彦が1974年に書いた「「仁義なき戦い」スクラップブック」(キネマ旬報1974年12月上旬号 後に「われわれはなぜ映画館にいるのか」「映画を夢みて」に収録)と1974年正月特別号のキネ旬の特別ディスカッション「仁義なき戦い・頂上作戦」のテーマは何か」(深作欣二 笠原和夫 菅原文太 日下部五朗  酒井良雄)。どちらも何度読んでも面白いし読み返すたびに新鮮。最近では「『仁義なき戦い』調査・取材録集成」(太田出版 笠原和夫 2005年)が大迫力、巻末の日誌や取材のノートは原資料ならではの緊張感が伝わってきてゾクッときますね。ついこの前刊行されたから今はどうかなとジュンク堂のHPでチェックしてみたらすでに絶版品切れで入手不可とは。最近は1刷だけで消えていく本が普通になってるんじゃないか。数年前のまだホヤホヤの古本にオッというような高値がついてビックリすることもめずらしいことではないようだ、入手しにくいのが難点ですが図書館で探してみるだけの価値はあると思いますが・・・。 <11月14日>
▽11月1日にNHK総合TVで放送された「アーカイブス山田太一の世界 ドラマ館『いちばん綺麗なとき』」(平成11年放送)にはシビれました。冒頭で山田太一が「最近は大人が見るドラマがないという声をよく聞く、その意味でも再放送してくれないかなァと思っていた作品なのです」と話していました、八千草薫 加藤治子 夏八木勲の3人が絡むハイパー・ホームドラマ。丁度忘れがたいインタビューだったなァと思い出して2002年6月号「小説新潮」の「八千草薫ロングインタビュー」(この号にはグラビア頁に「八千草薫秘蔵アルバム」まである)を読み返したところでした。ドラマの発端は突然、見知らぬ男の訪問から始まる。亡くなられたアナタのご主人には親しい女性がいて相手は(昨年亡くなった)私の妻だった、と。偶然出てきた妻の日記から知ったことなのだと告げられるが、独り暮らしの未亡人の心は揺れる、誰にも言えやしないことだし。何があったのか・・・
終盤の八千草薫と加藤治子がののしりあう場面はまさに「爆発」、ホームドラマの予定調和を破壊する。ハラハラしますね。
ラストで作者たちは心憎い演出を見せてくれる。息が詰まるそのショットは八千草薫と加藤治子の乙女の頃の写真、その初々しいばかりの愛らしさはドラマの中で異様な輝きを放つ。<青春の時>がふたりに確かにあったことを投げかけ「綺麗なとき」は年老いてからゆったりと柔和な顔をのぞかせながら訪れているのではないか。八千草薫の「優しい時間」(世界文化社)そして加藤治子の「ひとりの女」(ベネッセコーポレーション 福武文庫)へ繋がるドラマでした。<11月7日>。
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2008年11月備忘録